「聞けば、中学受験もしていない、塾も行ったことがない子だそうじゃないか。 なんでそんな子に負けるんだ」 負ける……。 あたしは海結に負けたの? 海結に勝たなくちゃいけないの? そんな思いが胸をぐるぐると巡る。 「でも、海結との点差はたった二点で、三位との差は十点以上あるんだよ? 海結は特別頭がいいんだよ」 そうだ。海結が特別なのだ、と繰り返す。 するとお父さんは、さっきより声を荒げた。 「じゃあなんで、そのたった二点ができないんだ!」