相当な時間と思いをかけて決めた“死”という道。 その決意をこんなにも簡単に揺らがしてよいのだろうか。 これから生きていても、ろくなことはないだろう。 たとえ今、まりあとの束の間の幸せの時間があったとしても、教室に入れば地獄だ。 すぐ近くにある“死”が、いきなり遠くなるようで戸惑った。 天国まであと五段。 私は、何とも言えない気持ちに包まれていた――。