そう思うと同時に、奥から万里香が出てきた。 ケータイで誰かに電話をしているようだった。 「もしもし? こっち、来たよ」 来たというのは、私のことだろう。 電話の向こうから、英子が「わかった。すぐ行く」というのが聞こえた。 それぞれの階のトイレを見張っていたというのか。 くだらない、と思ったけれど、 これから何をされるのか、という恐怖の方が大きかった。