◇天国まであと二十三段 「あー気持ちわるっ」 「お前なんか、ハエ入りのこれで十分だよな」 給食の時間。 いつも通り、ひとりで食べようとすると、麗子たちが来たと思ったら、いきなりガシャンと給食を払い落された。 床にシチューとサラダと苺がぐちゃりと広がる。 かわりに、ハエ入りというシチューを荒々しく置かれる。 こんなの、食べない。 そう言いたいけれど、口が動かない。 声の出し方を忘れたような感覚になる。