さっき、「お前のツラ、見てて吐き気がする」と、麗子にビンタされた頬がヒリヒリと痛む。



そのあと、見せつけるように執拗に手を洗われたことも、慣れていたはずのに、やけにじんじんと心が痛んだ。




まりあという存在が、痛みを消し去る天使だということを、あらためて感じた。




そして、存在が自分の中でこんなにもふくれあがってしまったことに戸惑う。




「天国への階段」をつくって、
もう何をされても痛くないように心をからっぽにした。


そのぽっかり空いた胸の穴を
知らぬ間にまりあが埋めていたことに、
まりあがいなくなって気づいた。


だけどいまさら、何もかも、もうどうしようもない。