◇天国まであと三十二段




 


滅多に人が来ない、学校の隅の階段。
今日はやけにがらんとして空しい。




「まりあ……」
 



そっと名前を呟いてみる。
その声は、がらんとした階段に響くけれど、いつもと違い返事はない。



宛てのなくなった声は、さみしくそっと消えて行った。