「ほんとだね」
麗子のぴんと張った声が
静まった教室に響き渡る。
いつものねちっこい話し方じゃないのは、迫力を出すためだろう。
実際、教室はかなりの雰囲気になっていて、みんなが次の展開を待っている。
「ね、斉藤さん。
出て行ってくれない?
その臭いのもと持って」
麗子は、楽しそうに、面白そうに言う。
私は、自分の机の前にゴミ箱を持ってきて、昨日捨てられた教科書を見つけて取り出し、机の中に入っていた雑巾をすべて入れた。
そして、教室を出た。
あの静かな教室で、今、
麗子はどんな顔をしているのだろう。

