「するする。くっさぁ」 「亜未もわかるぅ……くさぁい」 「ねえ、万里香ぁ。 この臭い、どこからすると思う?」 いやらしく、麗子が言った。 「……ゴキブリ御殿からじゃない?」 私は麗子の方を見なかったけれど、 麗子がにやりと笑ったのがわかる。 あの、万里香の一瞬戸惑う顔も。 クラス内のざわめきが、一気に静まった。