まりあの横を通る。 一瞬、躊躇った。 けれど、足を進める。 皮肉にも、まりあと仲直りできないこと、でまりあを追い越す。 唇をキュッと噛み締め、次の階段を踏んだ。 「追い越しちゃったね」 まりあが言った。 「……」 私は、言葉を返せないでいた。 何と言ったらいいのか、わからなかった。