「あれ」 後ろから声が聞こえる。 吉村七瀬のものだ。 「君、斉藤さんでしょ? まりあの友達」 まりあの……友達? 胸が、どきっと高鳴る。 友達?……まりあが? 私は、後ろを振り向けないでいた。 けれど、顔は真っ直ぐに前を向いていた。