◇天国まであと四十九段 ――麗子は今も、あの日を覚えているだろうか。 「きゃー!」 二年生に進級して、一ケ月ほどたったある日の朝、私が教室に入った時、叫び声がした。 驚いて見渡すと、中にいたクラスメイトたちがひそひそと私を見て何かを話し始めた。 クラスメイトは、やけに窓側から黒板あたりに溜まっている。 それは、まるで、廊下側の一番後ろの私の席を避けるかのようだった。 首を傾げて自分の席に向かうと、私の机のまわりに、黒いものが落ちているのが見えた。