どさっと大きな音がしたと思うと、トイチが床に倒れている。 「逃がさないぞ」 リクの足首を掴みトイチは怒鳴る。 私は鞄を両手に抱え、無我夢中で走る。 裸足で。 雨の降る暗い闇の中を。 山の中は右も左も分からない。 でもただただ走った。 リクに言われたように。