その夜の月は

秋の落ち葉を
優しく照らしていた。


その落ち葉を
しゃくしゃくっと
踏みながら

一人の少女が
歩いている。


これは彼女の
毎日の習慣だ。


真っ暗な夜の闇に
呑み込まれたりはしない。

彼女の存在だけが
キラキラと眩しい。


オトギの国の
トゥーンの街。


ここは、
貧しい人が暮らす街。


古びた教会に
小さな広場。

広大な牧場に
賑わう商店街。


スイスによくあるような
のどかな風景と
乏しい住民。


丘へと続く小さな道を
彼女は歩いて行く。