翔太の不思議ワールドに引き込まれていく。
自分の感覚がなくなっていく。ダメだ、このままじゃ自分が無くなってしまう。
「可愛い…のかな?」
「あげないよ?これ高かったんだから」
思わずぽかんと口が開いてしまう。
もう言葉が見つからない。
コミュニケーションがとれない。
深く関わるのはよそう。
まぁそれは確かに骨董品ぽいし、きっと一点物なのだろうな。
「へぇ、いくらしたの?」
「504円」
…誰か助けてください。
俺には無理です…これ以上会話は続きません…。
苦笑いを浮かべて携帯を開こうとすると再び翔太は口を開いた。
「可愛いって言ったら入学式のとき可愛い子見たなぁ。どこのクラスかな?」
動きが一瞬止まる。
翔太が言っているのはもしかしたら瑠花のことかもしれない。


