そんなことこれっぽっちも思っていなかった。
自分の気持ちをコントロールするので精一杯だったから。
「…俊介」
シーンとなった教室に瑠花の悲しそうな声だけが響く。
何でそんな声で嘆くの?
俺のことなんてどうでもいいんでしょ?
慰めて欲しかったのならこの周りの人たちに慰めてもらえば?
俺には関係ないから。
「それだけ伝えたかったから。じゃあな」
俺はこう言って瑠花から距離を離していく。
視線がこちらへと向けられる。
見ないでください。
今の俺の顔…酷いですから。
「ちょっと…待って!!」
すると引き止めたのは小さな体の満里奈だった。
必死に手を伸ばして行く手を阻んでいる。
一生懸命の彼女の姿が何か可愛く見えた。
「何?」
「あの人とは知り合い…ですか?」
「瑠花のこと?幼なじみだけど?」
「彼女…すごく悲しんでます…さっきの言葉は悲しい言葉ばっかりでした」


