まさかこんなに小さいとは…
写真だけでは判別できないな。
「えっ…何で名前…もしかして…」
「ストーカーとかじゃないから!これ!駅のホームに落ちてたのを拾ったんだ」
そう言って生徒手帳を渡す。
満里奈はそれを受け取りほっとした表情を見せた。
その姿がエサをもらえて嬉しそうに食べるリスのようだった。
満里奈は例えるなら小動物系だ。
「わざわざありがとう。ストーカーかと思って勘違いしちゃった。ごめんなさいです」
本当にストーカーだと思われてたんだ。
まぁいいけれど。
「じゃあ俺はこれで…」
その時聞いてしまったんだ。
瑠花の声を…
楽しそうに笑う声を…
やりきれない想いが込み上げる。
背中に突き刺さる声に腹が立った。
やはり俺の見つめる視線には気づいてくれないんだね。
俺は呼吸を整えて後ろを向き、瑠花のいる場所へ歩いて行った。
瑠花が望むのなら俺はお前から離れてやるよ。
「どいて」と男子の間を抜けていく。
そして俺は瑠花の前に立った。
「俊介…」
「明日からお前を迎えに行かないから自分で起きろよ」
どうしてこんなにも素直じゃないのだろう。
苦しんでいるのは瑠花もだった…


