出来ることなら見たくなかった。
やっぱり瑠花は俺の知らないところで成長していく。
C組まではあっという間に着いてしまった。
俺は手帳を広げ教室を覗き込む。
「…どの子だろ?」
教室を見渡しているとある異変に気付いた。
それは渓斗を女の子が囲む様子に似ていた。
でも明らかに違う。
取り囲むのが男の子だったからだ。
「もしかして…」
嫌な予感がした。
でも何となく確信をしていた。真ん中にいるのは…きっと…
「瑠花だ…」
俺はその光景を見て酷く悲しんだ。
まさかそんなことって…。
見たくない光景からすぐに目を反らせることが出来たらどれだけ楽なのか。
でも出来ない…
それは瑠花だったから。
俺の関係ない人だったらさっさと生徒手帳を渡して帰るのに…
瑠花だからできなかった。
瑠花、見えますか。
俺がこんなにも悲しい想いでお前を見つめているのが…。


