中学の入学式もそうだった。
男子の視線の先には瑠花がいた。
俺は必死になってその熱烈なアピールを削除していた。
でもさすがに目の届かないところで起きることも多々ある。
それを許さなかった。
だから中学の時に着いたあだ名が「瑠花の執事」だったのだ。
やはり周りから見ても俺は執事タイプなのか。
人混みを掻き分けて瑠花の元へ向かう。
瑠花に手を出すな!
瑠花に触れるな!
瑠花を見るな!
スローモーションに映る世界。きっと神様がスローボタンを押したのだろうか。
俺は瑠花のヒーローになりたかった。
そんな些細な願いでさえ叶えてくれませんか。
視線の先には二人組の男に笑顔を見せる瑠花。
徐々に聞こえてくる会話。
「えー…どうしようかなぁ…」
「いいじゃん、記念に」
お前は顎に手を当てて何を拒んでいるんだよ。
「る…瑠花!!!」
俺の声に気付いた瑠花は俺の方に顔を向ける。
俺は瑠花に近づき手を掴んだ。
「誰?お前」
「瑠花に変なことすんな。瑠花も瑠花だ。知らない人とは関わるなよ。行くぞ」
いい加減気づいてよ。
俺の気持ち…。


