「気になる人は…いるけど…」
ぱりん、と何かが割れた音がした。
シャボン玉ではない。
割れたらもっと小さな音で割れると思うから。
これは俺の気持ちの音だった。
まさか瑠花に気になる人がいたなんて。
中学のときそんなこと言わなかったじゃないか。
なぜ今まで黙っていたの?
そしてなぜ今打ち明けたの?
高校生になったから?
置き去りなのは俺だけ?
「けど…なに?」
「男の子って鈍感だからね。もうすぐ電車くるよ!」
これは聞かなかったことにしようか?
でもさっきからリピートされるんだ。
嘘でもいいから「気になる人はいない」と言ってくれれば良かったのに。
そうやって堂々と言えたということは俺たちの知らない人というわけか。
こんなにも呆気なく初恋が終わりを迎えてしまうなんて。
予想もしてなかったよ。


