涙は弾き水滴を描く。
俺は悔やんでも悔やみきれない思いで押し潰されそうになった。
「俊介、言ったよな?ケジメをつけろって。瑠花が大事なら瑠花を奪うくらいの勇気を出せ」
渓斗は俺の背中を叩いて勇気を与えてくれた。
そして会場には音楽が流れ出した。
それを聞いた俺は焦り出す。
ゆっくりとドアが開けられた。そして遊心さんと瑠花が一礼をし、バージンロードを歩いていく。
「こんなこともあろうかと車を用意しておきましたよ?」
そう言って翔太は俺に車の鍵を渡した。
泣いている場合じゃない。
俺はスーツで涙を拭く。
本当ならば俺が今新郎が立っているところに立っているはずだった。
みんなから拍手され、誓いの言葉を交わすはずだった。
だけど俺たちは許されない関係で。
でも瑠花はそんなことなど関係ないと言ってくれた。
勇気がないのは俺だった。
すべてを捨ててまで俺を愛したいと言ったのは、俺に優しさを与えてくれたのは、愛する喜こびを教えてくれたのは…
すべて瑠花だった。


