「紗智子いるか?俺だよ、遊心」
遊心と会うのはあの別れ話をした以来。
一年以上振りの再会だ。
心臓が高鳴った。
だが私はドアを開けることが出来なかった。
今開けたら遊心はどうなるの?そして俊介は?
何も知らない俊介が一番可哀想だ。
「…帰って。」
「頼むよ、紗智子。子供に会わせてくれ……」
今…なんて言った?
私が子供を産んだって知っているの?
なぜ…どうしてよ。
訳の分からなくなった私は慌ててドアを開けていた。
そこにはあの頃と変わらない遊心の姿。
すると遊心を見た俊介は満面な笑みで笑った。
何かが通じたのか。
俊介は小さな手を一生懸命伸ばして遊心を求める。
「……この子が俺の子供?」
私はその質問に何も言えなかった。
溢れる涙を堪えるので必死だったから。
「紗智子…本当にごめん。不安なときに一緒にいられなくて…」
「早く帰って…私は今この子がいれば幸せなの」
もうあなたなんか要らないわ。
私はこの子がいてくれさえすれば幸せなの。


