描いていた未来図が崩壊したのは卒業式の少し前だった。
私は遊心に子供のことは何も言わず、都内から少し離れたマンションで一人暮らしを始める。だが七海は私が心配らしく隣のマンションに越してきた。
別れた、と七海に言ったら七海は「私がこの子のパパになる」と真剣に言った。
その言葉を聞いて嬉しかったが私は一人で育てたい、そう強く心に誓っていた。
遊心が社長令嬢と結婚したのは23歳の6月のこと。
もちろん結婚式には行っていない。
行くわけがない。
惨めでならないから。
私はこの子だけで十分幸せなの。
そう毎日言い聞かせた。
そして予定日より二週間早いキンモクセイの咲く季節にこの子が産まれた。
2900グラムの元気な男の子だった。
付き添ってくれたのは七海。
七海も丁度この頃、お腹の中には4ヶ月の赤ちゃんがいた。
産声を聞いたとき全身の毛穴が開いたように感じた。
それくらい声が体に響いたのだ。


