駅前に着くとそこにはもう遊心がいた。
細身のスーツに身を包んだ彼は一段とかっこよく見える。
だけどなぜスーツを着ているのだろう?
内定通知は自宅に郵送されてくるはずなのに。
「お待たせ、待った?その前におめでとう!」
私は遊心を抱きしめる。
すると遊心は悲しそうに笑い「ありがとう」と言った。
やはり不安は増えていく一方だった。
私たちは近くのカフェに入り、注文をしたあと幸せは崩れ落ちた。
運ばれてきたハニーミルクティーを飲もうとしたとき、いきなり遊心は深々と頭を下げたのだ。
そして一言呟いた。
「…ごめん、俺と別れてくれ」
ジャズの流れる店内はあまりにも静かで、その言葉は瞬時に私の耳に入ってきた。
「…え……?」
ティースプーンを持つ手が止まる。
何を言われたのか分からない。
別れてくれ…?
何を言ってるの?
私のお腹の中にはあなたの子供がいるのよ?


