ぎゅっと目を閉じると笑顔の瑠花がそこにはいた。
俺を見て笑う瑠花に俺は安心をしていた。
だけどいつもとは様子が違った。
何故ならば瑠花は泣いていたから。
「…お金は絶対返す…だから」
「顔上げてよ、俊介くん。友達にそんな頭下げられるとこっちが辛くなるよ。…俊介くんの気持ちは痛いほど伝わってきたよ。出来れば僕もあの場所に瑠花ちゃんと行って欲しい」
聞き逃さなかった。
翔太の言葉を。俺は顔を上げ確認をする。
目の前は優しく笑う翔太がいた。
つまり、それは…。
「教えたのも、安くするよって約束したのは僕だもんね。確かお父さんが会員だったから予約しておくよ」
「……マジ?マジで言ってんのそれ?」
「嘘なんかつかないよ。僕もそうして欲しい。あそこで瑠花ちゃんと想い出を作ってきてよ。」
俺には見えなかったことが裏の世界でこの時も動いていた。
何も知らない、ただ必死に恋する俺を非難することなくお前たちは見守っていてくれた。


