頼めるのはお前しかいないから。
俺はグラスに入った水を一口飲んで今日ここに来た理由を話していく。
「クリスマスまでさ…あと一週間だろ?今日無事に瑠花のプレゼント買ってさ」
「へぇ、そうなんだ。何買ったの?」
「…指輪なんだけど」
「お!いい物選びましたね。それで?」
「…それで………」
言葉が詰まってしまう。
運ばれてきたカフェオレが美味しそうな湯気を出してこちらを見ていた。
淡い茶色のそれは心に癒しをくれた気がする。
だんだん翔太の顔を見れなくなった俺は窓の外に視線を移した。
自分の不甲斐なさにイラついた。
どうしてもっと前から計画をしていなかったのだろうと酷く悔やんだ。
でもこうなった以上頼めるのは翔太しかいない。
「…俺さ、どうしてもクリスマスに天文台のあるペンションに行きたいんだ」
「僕が前に言ったあの場所?」
そう翔太は聞くと俺は小さく頷いた。


