夜空に咲く僕たちの願い



家を出るとき、すごく緊張をした。
ゆっくりドアを開けてそっと靴を履いて、静かに鍵をしめた。
でも夜空に散らばった星と、集合場所にいた渓斗と瑠花を見たら違う意味の緊張に変わっていた。

瑠花を見るとどくんと胸が高鳴った。
渓斗を見ると少しだけ恥ずかしかった。

でもこの落ち着きはお前たちと一緒だからだと思うんだ。



「集合時間、ちょうど10時」



渓斗が腕時計を見てこう言う。


「瑠花、楽しみでちょっと早めに家出ちゃった!」



笑顔の瑠花が背負っているのは膨らんだリュックサック。
きっとお菓子が大量に入ってるのだろう。



「緊張しちゃったよ、家出るとき。バレてないといいけど…で、渓斗?天体観測の場所は?」



「こっちだよ。今日は星が見やすいと思う」



うん、そんな気がする。
願い事もちゃんと考えてきたよ。




俺たち三人は横に並んで歩いていく。
隣に瑠花を感じながら。
この胸の高鳴りを抑えて。