吹き抜ける北風が容赦なく俺の体にぶち当たる。
そんな攻撃に怒ることなく、ただ黙って必死に耐えていた。
厚手のダウンコートを着ても意味ないと気づいてしまう。
今年の冬は寒い。
北風の冷たさを感じ、そう思った。
虚ろな目でこちらを見る瑠花のお母さんは、何かに取り付かれてしまったのかと思わせるくらい不気味だった。
「風邪でも引いたの?すごく体調悪そうだよ」
そう言うと彼女は小さくふっと笑った。
「…ねぇ、俊ちゃん。俊ちゃんは今幸せ?」
辺りが静かすぎるせいか、その言葉は瞬時に耳に届いた。
「…え?あ、うん。幸せだよ」
素直に答えた俺に満点をつけたかった。
だって来週にはクリスマスがあって瑠花と一緒にいられるし。でもこれは両親には内緒だから幸せの理由を聞かれたらはぐらかすしかできない。
すると彼女はゆっくりとあの目で俺を見上げた。
華奢な体は瑠花とも似ていた。
「……いいわよね。子供って。何も考えずに生きているだけで幸せなんだから……」


