夜空に咲く僕たちの願い



真っ白なノートに同じことを何回も書いた。
白から黒に変わるくらいまで。悔しくて涙も出た。
その跡がノートに落ちて、グレーに変色した。

滲む文字に止まらない涙。


瑠花が大好きだ。
瑠花が大好きだ。


離れたくない、気持ちを伝えたい。



渓斗に言われたあの言葉を思い出す。
「天体観測のときまでちゃんとした願い事考えとけよ」
俺は手を止めてティッシュで涙を拭いた。



願い事…か。
叶うか分からないけど星に託そう。




…母さんはこの日いつもより大量の唐揚げを作った。
それを美味しそうに食べるフリをした。
母さんを泣かしてはいけない。だって母さんは俺を一人で育ててくれたから。


そして天体観測までの時間、ゲームをして時間を潰した。
何回チャレンジしても倒せなかった。
やはり攻略本を買わなきゃダメってことか。



そして集合時間の夜10時。
10時前に母さんに「もう寝る」と言って部屋に戻らずに玄関に向かった。
ベッドの中にクッションを詰めて偽造までちゃんとして。


高鳴る胸の鼓動。



ちらりと空を見るとそこには無数の星たちが散らばっていた。



俺たち三人の天体観測が始まる。