「どうした…の?何でそんなこと聞くんだよ!!」
渓斗の言った言葉が本当だったのなら、これからはもう少し自分秘密主義にしようと思う。
「好きじゃないわよね?」
母さんの瞳が何かを訴えているようだった。
俺はどうしたらいいんだよ。
母さんはどの答えを待っているの?
零れ落ちた言葉は、切なくフローリングの床へと落ちて行った。
そして模様と一緒に深く刻まれる。
「…好きじゃないよ…」
この日から、俺の部屋は自分を見失う場所になった。
この時言った言葉がまだ刻まれているんだ。
消そうとしても…消えてくれない。
そして母さんは小さくこう言った。
俺はそれを聞き逃さなかった。
「そう、良かった」
俺は瑠花が好きなのに。
好きだと言ったら母さんは悲しむ。
母さんが待ち望んでいた答えは「好きじゃない」
この言葉だった。
だから俺はずっと自分の気持ちを隠すことにした。
本当は…大好きなのに。


