ドラマのワンシーンを望んだわけではない。
ただ伝えたかっただけなんだ。結果なんかどうだっていい。
相手に自分の存在を、自分の想いを伝えることが一番大事なんだ。
これはテレビで言っていた受け売りなのだけど。
でもそれは当たっていると思う。
俺は瑠花が好きで好きで好きで好きで。
それが爆発してしまったんだ。不発弾で終わるのなんて嫌だった。
爆発できて良かったよ。
これで悔いなく死ねるからさ。
伝えるのは思った以上に簡単だった。
言ってしまったあとの解放感が清々しくて。
でも俺は瑠花の目を離すことなくずっと見つめていた。
瑠花は目を見開き、一瞬俺から反らしたあと再びこちらを向けた。
その眼差しは真剣だった。
「…いきなり、ごめん。でもどうしても伝えておきたくて。明日死んでも後悔しないように。瑠花にはちゃんと言っておきたかったから…」
今でも憶えてるよ。
あの時は幸せだった。
敵なんていなくて、お前がいたから幸せだった。
でも不思議だよね。
お前がいなくても今も幸せなんだ。


