夜空に咲く僕たちの願い



携帯をカバンに入れて翔太に瑠花の血液型を伝える。




「瑠花はO型だって」




「O型ね。ちょっと調べるから待ってて」




翔太はパラパラと雑誌を捲っていく。
その時俺の頭を駆け巡るのは瑠花が最後に言った“さようなら”だった。
これが本当のさようならだったら。
俺には後悔しか残らない。
無性に瑠花に会いたくなった。瑠花がいなくなる前に伝えたくなった。




「翔太…俺さ…行こうと思う」



「え?どこに?」




「瑠花に伝えようと思う。このまま“さようなら”は嫌だから」




真っ直ぐ翔太を見つめて言うと翔太は見ていた雑誌を置いて「うん」と頷いた。




「俺、翔太みたいに強くなりたいから。好きな人に好きな人がいても今が幸せだって言えるように。」




「僕はぜんぜん強くないよ。昨日あの光景を見て逃げ出したのは事実だしさ。でも曖昧なまま過ぎるよりちゃんとしたところを見れて良かったって思う。それにね…」




「ん?」




「運命って簡単に変えられるんだよ。複雑だけどね」




運命ってどうやって出来ているのだろう。
ずっと思っていた。
運命がもし一本の線で出来ていたのならそれを頼りに歩いていけばいい。
でも本当の運命の道は複数あって、選ぶのは自分次第。
迷うのも、遠回りするのも、立ち止まるのも、全て自分が選んだ道なんだ。
誰が悪いわけではない。
運命はそういうものだから、と新しい道を進むのも良いと思う。