その声を聞いた瞬間、心臓がとくんと鳴り身体中に熱が帯びていった。
電話越しで瑠花の声が色っぽくて、その声に虜になる。
やばい、また好きになる。
気付いたときにはもう遅くて。
「…あのさ…瑠花の血液型ってなに?」
『はぁ?何よいきなり。そんなこと聞くためにわざわざ電話してきたの?』
「…しょうがないだろ。翔太がそう言うんだから。で、何なの?」
『瑠花はO型。覚えておいてよね』
あっ怒った。
絶対頬を膨らませてフグみたいになってるんだろうな。
頭の中で考えたらちょっと可愛くみえた。
「ありがとう。じゃあな」
『電話ってそれだけなの?』
「うん。それだけ。何で?」
『もういい。じゃあね。さようなら。』
耳に響く無惨な音。
瑠花が急に切ったものだから耳が少しだけ痛い。
瑠花はたまにおかしなことを言う。
今だってそうだ。
怒っていたと思ったら悲しそうな声になったり。
そしてまた怒ったり。
忙しい人間だな、なんてね。


