白い歯を見せて可愛く笑う渓斗を俺は恨んだりなんて出来なかった。
俺が分かりやすかっただけのこと。
全部自分のせいだ。
はぁ、と溜め息を溢してベッドに座る。
弾むスプリングを体に受けてまた溜め息を溢した。
「でもさ、別にいいじゃん。瑠花を好きでも。俊介は瑠花とどうなりたいわけ?」
俊介はブルーのソファに座り、俺を真っ直ぐに見た。
どうなりたいって。
そんなこと言われても考えたことなかった。
ずっと隣にいたい、ただそれだけだったから。
「…別にどうって…」
「じゃあ今日の天体観測のときまでに考えとけよ。ちゃんとした願い事。俺はずっと俊介を応援する。俊介の味方だから」
なぁ、渓斗。
この時の言葉、すごく嬉しかったんだ。
でも今思えばあの時の渓斗の瞳は笑っていなかったんだよな。
渓斗の苦しみに気づいてあげられなくてごめん。
俺は自分のことで精一杯すぎたんだ。


