翔太と満里奈がどこか似てる気がした。
でも翔太の場合、その恋は一方通行で。
想いが通じ合えないと分かっていても満里奈と一緒にいたくて同じ高校を目指して。
翔太の想いが痛いくらい伝わってくる。
昨日の涙は演技じゃないな。
ずっと好きだった人のあんな姿を見たら涙もでるさ。
言葉が浮かんでこなかった。
何て声を掛けたらいいのかわからなかった。
中途半端に優しくして傷つくのは嫌だったから。
でも何も言わないのは友達としてどうかと思う。
「…翔太…」
「合格発表の日、満里奈は塾に来てて先生たちと喋ってたんだ。そして帰るとき友達に『今から伝えにいく』って言ってた。それ見たらさ、持ってた合格通知破りたくなった。でもね、俊介くん…」
翔太はゆっくりと俺の方に視線を向ける。
それにはたくさんの涙が溜まっていたけれど我慢しているのか一粒も流さなかった。
俺の前では泣いてもいいのに。


