聞くのはやめよう。
翔太のテンションを下げてしまうから。
「俊介くん、ここまで何しに来たの?」
翔太は長いソファーに座り、俺にこう聞いてきた。
俺は一人掛けのソファーに座ろうと思い、置いてあった星形のクッションを退かす。
「翔太が寂しがってるかなって思って。来たらまずかった?」
「別に僕は大丈夫だよ。俊介くんが心配してるのは昨日のことがあったからでしょ?僕…平気だよ。だって…知ってたから」
「え?なんて?」
翔太があまりにもさらりと言うものだから危うく聞き逃すところだった。
何て言った?知っていたって?
知っていたって何を?どこまで?どういうこと?
早くも頭の中はパンク寸前。
俺は動揺してしまい、散らかる床と翔太、交互に視線を送った。
翔太は俺にある秘密を教えてくれた。
隠していたあることを。
そしてこの日、自分の中の異変に気付く。
母さん、そういえば俺にはあれがなかったよね。
母さんは知っていたの?
俺の血の種類。
あの引き出しに隠されているものって…なに?


