ポケットから携帯を取り出す。翔太の携帯番号をメモリから探しだし、発信ボタンを押した。
遠くからプルプル、と音が聞こえてくる。
するとすぐにそれは翔太の声に切り替わった。
『はい?』
「もしもーし?翔太?さぁ質問です。俺は今どこにいるでしょう?」
この言葉聞いたことあるよな?お前が俺に電話してきたときと同じ質問だぞ?
さぁお前は何て答える?
『…え?俊介くん?俊介くんがいる場所なんて分かるわけないよ』
「当たり前な返事すんなよ。俺がいるのはお前の家の前。なんかさーお前ん家、思ったより大きくてビックリしてるんだよね。だから翔太が出てきてよ。」
『なに、それ…』
電話越しで翔太は笑ったように聞こえた。
良かった、ちょっと安心。
笑顔を忘れてしまったと思ってたからさ。
『今から開けるから待ってて』
翔太はこう言い残し電話を切った。
どうやら家には入れさせてくれるみたいだ。
拒否されるのではないかと心配していただけにそう言われてほっとする。
そしてゆっくりと入口が開いた。


