夜空に咲く僕たちの願い



今回は許してあげるよ。
ちゃんと伝わってきたから。
満里奈をどれだけ大事にしているか。
好きになった理由とウサギのストラップから伝わってくるから。




「もし翔太に元気が戻らなかったら今度は修平が行ってよね」



俺はくるりと出口の方に体を向けて職員室から出ていく。




「気を付けてな」




背中に当たる、修平の声。
俺はひらひらと手を振って下駄箱に向かった。
手にはメモ用紙。
星柄のハイカットは履きすぎたのか少し汚れていた。


靴は洗えば綺麗になるのに、傷ついて汚れてしまった心はなぜ何をしても綺麗にならないのだろう。

いつまでも残ったままの心を人間は死ぬまでそれを持ったまま。
辛いことも幸せなことも全て抱えて生きるのだ。
なんて繊細で美しいのかなって時々思う。


オレンジ色の空の下をそんなことを思いながら歩いていく。