「満里奈の秘密が分かるんだ。ここで行かなかったらここまで来た意味ないだろ?」
そう言うと瑠花はため息をついて「しょうがないな」と言った。
そう言って本当は行きたいくせに。
木造の扉をゆっくり開けるとカランという音が鳴った。
その音に驚いてしまう俺。
満里奈に気付かれたらヤバい。
そーっと中を覗くと外見では全く想像のつかないくらい洒落たお店だった。
こんなことを言っては失礼なのだけど。
店内にはオルゴールがかかっていた。
この時間帯、お客さんは2組ほど。
俺は店の一番奥の窓側に満里奈が座っていたのを確認した。
さすがに近くはまずいだろう。
別に会話が聞きたいわけではない。
満里奈の彼氏を確認したいだけだ。
「いらっしゃいませ。お二人?」
すると奥から笑顔のスタッフがやってきた。
「はい、こっちに座ってもいいですか?」
「どうぞ!お水お持ちしますね」


