このタイミングに誰だよ。
俺はグラスを持ったまま、玄関に向かう。
鍵を開けて確認をするとそこには渓斗がいた。
「なんだよ、渓斗かよ。どうかした?」
「家の鍵忘れたみたいなんだ。ランドセルの中探しても無くてさ。母さんもうすぐ帰ってくるからさ、それまで俊のとこに居させてくれないか?」
渓斗は下を向いたままこう言った。
持っていた天体観測の本をぎゅっと握り、俺の答えを待つ渓斗。
俺はそんな渓斗を見てどこか違和感があった。
動揺している、と。
肩が小刻みに震えていると。
でも俺は何も言わずに渓斗を部屋へと案内した。
きっと言いたくないことだろうから。
何も無理して聞こうとは思わない。
「部屋かなり散らかってるけど気にすんなよ」
「いつものことじゃん」
「うるさいな。何か飲む?」
「いらない。そういえば俊介のおばさんは?」
この時、なぜ渓斗が俺の家を訪れたのか。
真実を聞くのは俺たちが大人になったときだった。


