下駄箱で靴を履き替えて、教室に向かっていると前から雅也くんが歩いてきた。
良かった、瑠花は今トイレに行っている。
もしここに瑠花がいたらきっと話しかけていただろう。
「俊介、渓斗、おはよう」
俺は雅也くんより背も小さいし、顔もカッコ良くないかもしれない。
でも絶対負けない自信がある。
「雅也くん、あのさ…」
「なに?」
雅也くんの目を真っ直ぐ見つめる。
そしてこう強く言った。
あなたに宣誓布告します。
「瑠花は渡さないよ。瑠花は俺のものだから」
知らない間に瑠花が誰かのものになる前にライバルには宣誓布告を。
俺の想い、受け取った?
雅也くんは驚いた表情を見せ、何も言わずにその場から去って行った。
「いきなり何を言うかと思ったら…」
渓斗はため息を漏らしこう言う。
「はっきり言っておかないと!これでいいんだよ」
さっきの言葉は自分の中では満点だ。
これを雅也くんではなく瑠花に言わなくちゃ意味ないけれど。
教室に向かっている途中、後ろから満里奈の声がした。
「俊ちゃん…」
「お!満里奈!おはよう」
何だか今日の満里奈はいつもと違く見えた。
頬を赤く染めて、恥ずかしそうにしている。
やはりどこか小動物に似ていた。
「あのね…俊ちゃん…」
「なに?どうかした?」
「満里奈、俊ちゃんのこと好きになっちゃったの。付き合って欲しいな…」
恋は何の前触れもなく突然やってくる。
さぁ、まだ知らない未来に何を想おうか。


