俺はブランコに座り翔太を見上げた。
すると翔太からは笑顔は消え真剣な表情となった。
そして俺にゆっくりと近づき、腕捲りをする。
俺の頭の中は“?”マークで次第に埋まっていく。
俺の目の前には翔太の細い腕。でも俺はその腕を見て言葉を失った。
なぜならば―…
そこには無数の傷があったから。
「……なに…これ…」
「驚いた?これね、僕が今までに逃げた数なんだ。」
白く細い手首には痛々しいほどの傷。
それを翔太は“逃げた数”と言った。
俺は何も言えず、ただそれをじっと見ていた。
「僕ね、中学の頃女の子にすごくモテたんだ。もうびっくりするくらい!でも、そのせいで仲良かった友達が離れていってさ…虐められた」
翔太は静かに話してくれた。
無数の傷の意味を。
そして自分の過去の話を。


