母さんはスーパーの袋を片手に、俺の横を通り鍵穴にカギを挿した。
「早く入りなさい。ご飯作るからちょっと待っててね」
「…いや…今日はいいや。ちょっと部屋で考え事するから」
靴を脱ぎ捨ててそのまま部屋に向かった。
何となく電気はつけなかった。情けない自分の顔をあまり見たくなかったから。
俺はよろめく足取りでベッドへダイブした。
「……どういうことだよ…」
小さく漏れるのはまだ疑問を抱く言葉だった。
なぜあんなことを…
何故…なぜ…ナゼ?
渓斗にとって生きるってなに?俺にとって生きるって?
深く考えると抜け出せなくなりそうだ。
かといって浅くは考えたくない。
こういうとき何て声を掛けたらいいのだろう。
「俺は死にたいなんて思ったことないけど渓斗はあるの?」なんて軽く言ったら渓斗の存在を否定しているようで怖い。
「なんで死にたいって思うわけ?」なんて聞いたら逆ギレしてるようにも思える。
どうしたら…


