この言葉は自分の背中を押すための言葉でもあった。
誰かが瑠花を好きでもいい。
俺も瑠花が好きなのだから。
「言いたいけど…きっと雅也は戻ってこないよ。だってあの人頑固だから。自分の決めたことは絶対守り通す人だし…」
「でもやれることはやりましょう!ね?」
笑顔を見せると百々花さんは優しく笑ってくれた。
渓斗は缶コーヒー片手に空を見ている。
瑠花はじっと百々花さんを見ていた。
きっと何かを考えているのだろう。
考えればいいさ。
瑠花の決めたことに俺は納得するから。
でも雅也くんと付き合うって言い出したらかなり怒るけどね。
空にぽつんと浮かぶ満月。
辺りが暗くなる頃、俺たちは百々花さんと別れを告げた。
電車の中、最初に口を開けたのは瑠花だった。
「…今日百々花さんの話し聞いててね…思ったんだけど…」
「なに?」
「瑠花、どうかした?」
「恋愛するには誰かが犠牲になるのは当たり前のことなんだなって…」


