瑠花は俺の約束よりも雅也くんとの約束を守るの?
瑠花にとってどっちの約束の方が大事なの?
いきなり現れた雅也くんの方が大事?
そうかよ…期待した俺が馬鹿だった。
俺はカバンの持ち手を強く握り、聞こえるように舌打ちをした。
「…帰ろ。もう瑠花なんか知らない…」
怒りを抑えようとしてもなかなか出来ない。
徐々に沸き上がる怒りと悲しみで呼吸がおかしくなる。
下駄箱に行き、靴を履き替えているとある人たちの会話が耳に飛び込んできた。
「今日森山さんと喋っちゃった」
「近くで見るとさらに可愛いよな」
イラ…イラ。
その言葉たちが余計苛立たせた。
みんな瑠花に夢中かよ。
何で瑠花なんだよ。
瑠花以外にしろよ。
俺が瑠花のことが好きなんだから。
なんて自分勝手な発言なのだろう。
自分の器の小ささに笑えてしまう。
俺は靴を履き、学校を飛び出る。
まさか高校生になってこんなにも苦しむなんて思っていなかった。


