瑠花は忘れているんじゃないのかな?
俺と本屋に行くってこと。
まぁ覚えてたらここに来るはずだな。
隣のクラスがざわつき始める。どうやら解散をしたらしい。
ちょっと待ってみよう。
「俊介、帰るぞ?」
「あぁ、ちょっと待って」
携帯を開くとメールは届いていない。
ということは瑠花は俺との約束を覚えるかもしれない。
「瑠花と本屋行く約束してるんだよね」
「は?何言ってんの?」
渓斗は眉間に皺を寄せて首を傾げながらこう言った。
俺は携帯をしまって廊下に視線をずらしたが、瑠花の姿は無かった。
「…あのさぁ…俊介くん?」
そう申し訳なさそうに声を出したのは翔太だ。
「何だよ?」
「非常に言いにくいのですが…さっき瑠花ちゃん一人で廊下歩いてったよ…?」
「え……まじで?」
散ったよ、俺の初恋。
この言葉が俺の体を駆け巡った。


