ありがとうな。
俺はやっぱりお前がいないと生きていけないよ。
そうやって支えてくれているんだよな。
だから俺もお前を支えたいよ。
屋上を出て冷えたアスファルトの階段を下りていく。
渓斗と俺の間には会話というものがなかった。
ただ黙って図書館に向かっていた。
渓斗の背中が優しさで溢れているように見えた。
図書館に着いた頃、ようやく気持ちが落ち着き言葉が出るようになった。
「あのさ渓斗…天体の本って?」
「そんなの嘘だよ。あそこから逃げるための口実」
古びたドアを開けるとそこは案の定静かだった。
そこには誰もいなかった。
壁に貼られた“図書館では静かに”という文字が悲しくみえた。
「もしかして俺のため?」
「ん?そうだよ、俊介があまりにもひどい顔してたからさ」
笑いながらこう言って椅子を引く。
俺も渓斗と向かい合って座った。


