始めの“どうして”という言葉がまずかった。
これじゃ「何で瑠花のところに来たんだよ」と言っているのと同じだ。
雅也くんは白い歯を見せて言う。
「この一週間でケジメをつけてきたんだ。俺最近まで彼女いたんだけど瑠花ちゃんのことが気になっちゃって別れを告げてきたんだ。ちゃんとしてから言わないと相手に失礼でしょ?」
大打撃。やられた。
脳裏にちらつく“ゲームオーバー”という文字。
小学生のときに何度もチャレンジしたボスの場面にそっくりだった。
何度も戦ったけど倒せずに飽きてしまったというオチ。
攻略本も買わずにそのソフトはどこかに無くしてしまった。
恋愛にも攻略本があったならどれだけ楽なのだろうか。
真剣な瞳で言うものだから、何も言えずに終わった俺。
瑠花は真っ赤に頬を染めていた。
「その彼女ってここの学校の人だったんですかぁ?」
すると翔太が食後のプリンを頬張りながら雅也くんに聞く。
きっとダメージを受けた俺に気を使ってくれたのだろう。


