机の上に広がったのは数枚の手紙だった。
「やり方が古風だよね。下駄箱に入ってた。」
ピンクの封筒に、可愛いネコのキャラクターの封筒、そしてハートが散らばった封筒とこれは渓斗のラブレターだ。
「読まないの?」
「読まないよ、読んでも応えられないし」
そう言うと翔太がネコのキャラクターの封筒を手に取った。
「じゃあ僕が代理で読んじゃお」と言って勝手に封を開けていく。
差し出した人はきっと緊張したはずだ。
下駄箱に入れるだけだけど、たくさんの勇気を使ったと思う。
女の子って偉いな…と心の中で思っていた。
翔太は黙々とそれを読んでいる。
そして読み終わったあと一言呟いた。
「俊介くんもこの子逹を見習いなよ。渓斗くんが返事をくれなくても必死で伝えてるんだからさぁ。」
そんなこと言われなくたってさっき思ってたよ。
翔太には分かるわけないだろ。
俺はお前が想像しているより遥かに辛いのだから。
そして昼休みに俺は奈落に落ちた。


