夜空に咲く僕たちの願い



授業中、俺は何も考えることができなかった。
習い始めたばかりの数学の数式だって頭に入ってこない。
きっと中間テストは期待できないな。


ふとグラウンドを見るとある人の姿が映った。
それは下を向いて歩く渓斗だった。
もう少しで授業が終わる。
それに合わせて歩幅を小さくしているのか。
本当に要領がいい奴だな。
俺はそんな渓斗を見て小さく笑った。


すると渓斗が上を向く。
癖なのかな。上を向くの。



その時目が合った。
ここからじゃ遠くて分からなかったんだ。
渓斗が苦しんでいるのが…



無神経な俺は小さく手を振る。すると渓斗も俺と同じように返した。



そして授業の終わるチャイムが響いた。




「おはよ、渓斗」



教室に渓斗が入ってきた。




「朝はごめんな。」




「どこ行ってたんだよ?」




「まぁいいじゃん。そんなことより…」




カバンを席に置いて、ある物を俺の机に置く。
ちっ話を反らされた。