「……凪様」 離れて行く朧源の背中を茫然と見つめたまま立ち尽くしていると、馨さんは小さく私の名前を呼んだ。 「……彼は一体、何をするつもりなの?」 彼の消えた廊下を見つめたままそう問い掛けると、馨さんは小さく息を呑み口を噤む。 「……ねぇ!!教えてよ!!朧源は私に何をさせるつもりなの!?」 そう声を荒げ馨さんの肩を掴むと、彼女の瞳を真っ直ぐに見つめた。 しかし馨さんは私から視線を逸らし俯いたまま、何も答えてくれない。